SSブログ

命の行方(1) [親の話]

お父さんのお墓参りに行ってきた。
今年1回目。
目黒不動尊の永代供養に入っているお父さん。
あたしたちがお花とお菓子を持ってゆくと、掃除のおばさんがぽいぽい仏壇の
お供えを片付けていた。あたしたちが近がづいていくと少しそのスピードを落として
小さく会釈をしてくれたけど、そのシンプルで無駄のない動作はいやでも焼きついて
しばらくぼんやりしてしまった。

けぇは比較的そういうことに寛容だと思う。罰が当たるとかあんまり思わない。
死者に失礼じゃないか!という人や、自分の身内にと怒ったり悲しむ人もいるかも
しれない。けど、他人にとって他人の死は恐ろしく非現実的なものだと思う。
あたしたち家族にとってはお父さんが眠る場所でも、掃除のおばさんにとっては
毎日の職場。生きて、毎日ご飯を食べるための仕事。そうおもえばなんてことはないのだ。

お父さんが死んだとき、あたしは結構ないたと思う。
悲しいよりは、ただないた。涙がたくさん出た。なんでかわからないまま泣いていた。

お父さんは半年自宅で寝たきりになって、最後まで意識ははっきりしていて、癌の痛み、
呼吸の苦しさに悩まされた。前立腺の癌の発病から8年、診断から4年、薬や治療は
あまり効果がないままどんどん症状が悪化していったんだよね。
実は寝たきりになる前の日まで、自分で歩いて電車に乗って、杖を突いて病院に通って
いたんだょ。心がホントニ強い人だ。

そのときにはもうすでに全身に癌は転移していたと思う。
寝たきりで半年、ひとつの部屋からまったく出れずにすごし、窓から見える眺めや、テレビに
出てきた人の絵を描いたり、けぇやえりちゃん(妹です)が貸した本を少しづつ読んでいた。
新聞か、経済の本しか読まない人だったのに吉本ばななを一生懸命読んでいた。ゆうれいが
でてくるはなしとか、ひとが死んでしまう話が多いからかもしれないけど、いつも読み終わると
おもしろかった、また貸して」というだけだったから、ほんとのところはどうなのかわからない。

寝たきりなので下の世話はもちろんだけど、ご飯や水もじぶんではどうにもならない。
お父さんは、かなり前から働いていたけど、微妙な商売をやっていて、うちにはお金がなくて
3人とも働いていたので、昼ごはんとか朝作っておいておいてお昼に食べてね、と置いていく
しかなかった。ひどい話だけど、しかたがなかったんだよ。
ヘルパーさんや看護婦さんもきてくれたけど毎日じゃないからね。
そういうことをどう思っていたんだろう。けどそれもだんだん残して食べなくなってしまって
シフトで都合のつくあたしは会社の有給を使いまくった記憶がある。。。

そのときにけぇがいつもお父さんに食べてもらいたくていろいろ工夫したこと。
一口サイズにいろいろな料理を作って食べてもらう!ってことだった。
食べたい欲求がないから(動かないし、痛みがあってたべれない)色をきれいに飾って
マグロは癌にいいとか、小豆も癌にいいとかっていう御託を並べて一緒にご飯を食べた。
そうするとさ、不思議なことにたくさん食べれるんだよね。お替りしたりして、嬉しかった。
そして、よく二人で休みの日にひたすら歩いて散歩して、目に付いたお店でご飯食べた
こととか、そのときたいてい中華やさんでお父さんはビールと野菜炒めで、けぇは五目かた
焼きそばだったとか、ぶぁあ~ってよみがえってきて忘れてたのに、思い出して嬉しくて
そばにいるのがすきだったなぁ、と思った。

いつの間にかさ、離れてしまって、おとうさんが病気になるまで近くに寄り添えなかったのは
仕方のないことだけど、いまここでとりあえずご飯作って一緒に食べてることができてホントに
よかったっておもえたんだ。

後から後悔したりは、結構だれでもできることだと思う。でもさ、いつも今を大事におもって
そうやってすごせたらっておもうよ。取り返しがつかないことをしてしまったって、よく言うでしょ。
でも取り返しのつかないことをするってことはない、と思う。何もせずに、気づかずにもしくは
本当に大切なものを見過ごして、違うことをやっていても、それはそれで仕方ないんだょ。
ただ、とにかく気づいたらやる。やってみる。それしかない。いつもあたしたちは取り返しを
付けに行くために動いて、生きてるんだとけぇは思うよ。どうかなぁ?!

目黒にある「とろけ地蔵」すごくやさしくて、でも厳しさを内側にかかえ
              てたっている感じ。怖さをかくしているから、外にやさしくできるんだね







 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。