それはいや。

恋をしてない
まったく
完全に。

なのに
このにおいに敏感なのは
あたしが飢えているからなのか？

愛は与えて
恋は奪う

どっちもいまのあたしには
重労働
全力疾走、失踪、シーソー、あぁ、そう

このごろぼんやりしている
すると
空が近づいてくる
よく躓いて
小指のつめが白っぽくなった
きづくと
かばんの中身がなにかなくなってる
良く行く店におきわすれたり
警察から落し物の電話がかかってきたり
後ろから追いかけられて
ハンカチを拾ってもらったり
毎日ある

なんか
なんか
ミルクの膜みたいに
甘くてふんわりとしたガーゼが張ってるみたいに
現実じゃないみたいだ
あたしの影は今人よりちょっとだけ
薄いのじゃないかなぁ
そんな気すらする


まいにち通い始めた東京駅には
いろんなひとが居る
いろんなところからきて
いろんなところに行く
不思議
変な感じ

あたし今この新幹線に乗って
博多に行こうと思えば行けるなあとか
普通に考えている

旅にでたい
全部のしがらみも責任も関係なく
思いのまま足が向くまま
ふらふらとどこかへ

別の場所に
そんな気分で居るから
ちゃんとできない

ふらふらふわふわ
とろとろになって毛布に包まって
眠る

深く甘く深く淡い眠りの中で
とてもリアルな夢を見る
まるでそっちの方が本当のことみたいに
感じるんだ

変だね、だけどそうなんだよ
熱いからかな
ナツはいつもより空が近い
梅雨が終われば
きらきらの太陽
ひまわり
汗をかいたグラスと帽子
つま先の開いたサンダル
かごバックにマドラスチェックのワンピ！！
うほほほ～ぃぃ！！！

暑いのはいや。でも汗をかくのは好き
日に当たるのは無理だけど、日陰から光の強さを眺めているのは好き
帽子と長袖をはおっておさんぽしたいな
夕涼みのお散歩
打ち水の向こうに陽炎
懐かしい、でもいつものとは違うナツが
くるねぇ
そうだねぇ

ナツが来ることばかり考えて上の空、なのかな