いつか、ほんとうだと思ったもの

*
ぽっかりと
目が覚めた

突然
夢から離れた
眠りの中に居た後に
ふいに水面にうかびあがる目覚め

光はうす金色で
ゆっくり宙をまうほこりまで
ぴかぴかで
優雅なアクロバットをしている

そろり
片足づつ毛布から抜け出して
あたしは今日を
当たり前のように
はじめることができる

**
身体の奥で
重たい冷たい赤ん坊が泣き叫んでいたのは
ほんのついこの間のこと

あたいのつま先はいつも冷たくて
ちょっとでも躓けば
ばらばらに砕けそうだった

ゆっくりびくびくしながら
歩くことしか出来なくなってしまった
今の景色全部が
怖いものに見えた
わかるはずもない
未来を考えるのを止め
明日の苦痛をまるで知らないかのように振る舞い
１０分後の危険をかわすことに
心のチカラを使うだけ

***

もう、疲れたんだ。
そういって両手両足を投げ出して
全部、預けたい
あの大きな背中によりかかって
与えられた本を読んでいたい
夢と現実の間でとろとろでいたい

あたしはまだちいさいふり
あたしはまだかくれんぼ

言いたいことはわかる
だけどちょっとだけ
しらんぷり

****

その手で、そっとあたまをくしゃくしゃにして
笑う。
あぁ、この笑顔
懐かしい
その笑顔

*****

ぴかぴかに磨いて
空気を満タンにしゅうしゅう入れて
水筒とチョコ
桜色のスカーフ
りぼんのついた帽子
フル装備の自転車乗り、出発シンコー！

大きな声で歌いながら
日が下の道をかっ飛ばす
全部全部ぶっとばす
後ろに風が強くあたしを押し返す
心は前に乗り出して
この坂を上りきれば
最高の

そうだ
全部ぼろぼろ落として
大事なもの全部
それをこの身体に全部
くくりつけて行くことは出来ないんだ
だからあげるよ
大事なもの全部

風が吹いてる
だけどあたしは
それに負けない
こぎ続ける
前に進む
あたしが通り過ぎた後の
小さな風
いくつもの風

空が、ほら
青いよ

**********************************

今日は三鷹を自転車散歩
３時間くらいぐるぐる、結構遠くまで行った！
いいお天気だったので大変でした（けえは日光アレルギィなのさ）
自転車っていいね！
前にしか進めない
それがいい
行くしかない
でも一生懸命こいでいると
どんどんスピードが出る！
上り坂はくるしい
あきらめようと思う
だけど続ける
そうするとどこかもわかんないだけど
自分にはっきり分かるゴールにつくんだよね
あるときに

それはいったい何のためだろう
あぁ、だけど気持ちいいから
意味なんていいや


むかしこだわっていたもの
何も考えずにやって気持ちいいこと
それをいくつになってもやり続けていたい
あたしは我慢しないで生きてたいの

昔、本当だと思っていたもの
いまは嘘にかわってしまったもの
だけど、まだ信じてるものがある
ならそれを大事にしなきゃいけないと思ってた
だけどそれさえ

風は吹く
時間は流れる
あたしはどんなふうに
底に溶けていくんだろう