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雨の日は遠くて。 [コトバのプール]

こんな雨の日がいつだって淋しい気持ちにさせる。
空気中に水の粒がたくさん散らばって
あたしの気持ちを晴れた日とは違う方向に
散り散りに拡散させる

大学のころ民俗学者の先生の講演会に行って
海のある場所に住む人は
何も後に残さない
去っていたものはしばし白い波を立てて余韻を残すが
それさえもいしばらくたてば波間に消えて
跡形もなくなってしまう
山のある場所に住む人は
埋め立ててやがて腐食し、土に返してその土地の一部にする
でもなかったかのように振舞っても
いつもでもそこに残り、同化しやがで別の何かになっていつまでも残る

そんな話をしていた

海も土もない
コンクリートにふさがれて暗い暗渠で酸素分解されないまま
よどんでいく川のそばで育ったあたしは
であったものや見たものを別の形で処理してきたんだ

あたしにとって海や山に変わるものそれは空
いつもかすんでくすんだ青でビルに切り取られた小さな部分でしか
捕らえられなくてもやっぱり心の帰っていく場所は空なんだ

要らなくなったものをごみにだしながら
こころは空に返すよ、なんて分裂してる
物と思いを一緒に処理することができないから
いつもどこかで納得してない自分がいる
まだおわってないようなそこにあるような
せめて目の前で燃やして見せてくれればいいのに
都会はコンクリートで固められた場所で
跡は残らなくてそこにそのまま置いておいたらいつまでもそのままで
どこにもいけないままたださびていく場所
目をそらした隙になくなれば最初からあったのかどうかさえ不確かであいまいなんだ

都会に住むあたしたちはいつも
何か新しいやり方をいっこいっこ探さなくてはいけない
最近ではお金でたいていのことに片はつくけれど
整理しきれない気持ちは自分で何とかしなくちゃいけない

雨の日はそこら中にこまかな水素が充満して
あたしの肺を湿らせる
あたしの声も湿って悲しげに鳴く
雨の日は重いにもつぶつぶの水滴が絡み付いて
雲の向こうの青空まで
声が届かないで
アスファルトにたたきつけられてる

水のカーテンにさえぎられたみたいに思考が重たい
こんな日には空にいる神様が遠くて
心細くて、つま先が0.2℃つめたぃ

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ブタゴリラ

アンニュイだぁね
by ブタゴリラ (2006-05-13 19:56) 

はじめて訪問させてもらいました。

こういう文章、私には書けません!

>心細くて、つま先が0.2℃つめたぃ>

なんていう表現力なんだろうっ?!

また、きますね!
by (2006-05-14 10:04) 

ke_co_ltd

>兄貴w
あんにゅぃ?たそがれまだむ?けだるいよねぇ、きょうのあたしw
そんなひもありなのでした

>zushikko様┃電柱┃_・)ジー
ほめられたぁ、わぁぁいわぁぃワーイ ( ^-^)o-o<※ ☆ パンッ
こころぼそいとき、淋しいときけえはからだのさきっちょが冷たくなる
あとおなかがすかすかします。
その逆もある。

またきてくださぃな!いつでもうえるかめ!
by ke_co_ltd (2006-05-14 20:53) 

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