100年生きてみる。

それはきっとすとんと降りてきて
そのときのあたしには
衝撃的なほどに
分かりやすい答えだった。

「なにしろ100年生きるのは難しいものです。」

まあ、あたりまえのことで
肉体的なことだけでなく金銭とか精神とか環境とか運とか
いろいろいろいろいろいろが
まざってあわさって
自分は今ここにいて
それはこれからも続くけど
突然途切れたり
ゆっくり細っていったり
とにかくいつかは消えるのであって
そのことが
あたしには
とても寂しくて
虚ししいなぁと思っていた
いつか消えていくならいまは無意味だと思って
投げちゃってしらないふり

いつかはいつか
いまじゃない
明日ではない

見つからないゴールには
向かっていけない
だけどもしや
そうきっとだけど
すぐそこにゴールが引かれれば
泣いて怒って最期にはちょっとだけ笑って
あたしはそこにむかって
全力で走るんだろう

けど、、けどね
じゃぁいまは？それまでの暇つぶし？

そうだね
時間つぶしかもしれないね
そもそも死んでしまえばそこで止まってやがて風化する
線だった人生はやがて点になって
いつか砂漠の砂の一粒になって風に吹かれるんだろう
それでもいい
それでいい
だから頑張り過ぎなくていい
いま楽しめ
目の前にあるものを見ろ
味わえ、感じろ、そして書けばいい
そんな毎日は
鮮やかで
切り取られたそばから
粉々に砕けていくみたいなんだ

すぐではないけどそう遠くない未来
なんとなくわかる
なんとなくおびえている
力はすこしづつ削ぎ取られ
そして理由もなく
あきらめていく

そっとうつむいて
静かに笑って見せて
ありきたりな挨拶と文句
元気？幸せだよ。
いまは？昨日帰ってきたところ
変わらないね。はじめまして
行き違いすれ違い
何を急いでいるんだろう
どこから来てどこに行くんだろう
どこにもいけないというのに

風は吹いている
だけどあたしは
その風には吹かれない

100年生きてみる
そう考えたら
空がぐんと高く青く澄んで広がった
なんだってできるし、どこへだっていける
だったらいまここでなにもいないでじっと考えていることだって
丁寧に生きること
ゆっくりじっくり考えてみれば
そう
100年ある
そうおもってみたら

あたしは100年生きてみます
そしたらきっともっといろんなことがわかって
いろんな人と出会い、話し、愛して、きっとなにかが出来る
そのためにしなきゃいけないことはたくさんあるけど
大丈夫、時間はたっぷりあるから