ひとりで生きていく。

今日はすぅっと目が覚めて
朝の光が
左の頬にガラス越しに幾重に重なって
自分の輪郭をぼんやりと遠くでもしっかり感じながら
あぁぁ、そうかぁ
こんな朝があった
前にも
だけどこれは今日の朝で
いままでのどれとも一緒ではない、
そんな風にきちんと言葉にして思った。

隣の部屋ではいもーとが活動している音や
コーヒーの香りで
がちゃがちゃした、でもいつもどおりの
きちんとした「暮らし」の気配があって
これはこれで幸せだ。
あたしは今はちきれそうにいっぱい持っているわけじゃないけど
でもこういう目覚めかたができるなら

今日一日を生きてみよう、そうやってくりかえし
生きる覚悟を持っていける。

そうなんだ。


なんで生きているんだろう、とか
なんで死なないんだろう、とか
恋がしたいけど相手がいない、とか
仕事ばかりして仕事がなければもうあたしにはなんにも残されていない、だとか
そんなことをいちいち言葉にしては
つまらない気分になっていた。

言葉で伝えたいことや
言葉で表したいことが
どんどんあたしが持ってるものから
見つからなくなってしまった
もう何かを書くことは必要ないのかもしれない
普通の生活と普通のしごと普通の考え普通の振る舞い
適当だと思えるその時々の自分を引っ張り出して
自分で自分になっとくすればいい
感情や思いをここに書く必要はないし
ここではないどこかに書くこともないのかもしれない

だけど今日
今日の朝にたどり着いて
一日が何事もなく終わり
だけどぽつんとしみみたいに
心になんだか別の色合いがひとつ加わり
そうだね
すきなものはすきだし
誰にどういわれる筋合いもなく
ただいまやりたいと思うこと
行きたいと思う場所
いいたいと思う言葉
そういうもので自分を自分にどんどんしていくことしか
できないからこれでいいしなにも後悔しない、
そういうことがよぅく分かった。

それだけで安心してここにいることが出来る。

みんなに会いに行きたいなぁ。
そしていろんな話がしたいね。

だけどあたしはあたしでしかなくて
そういうことをひとりだと呼んで淋しくなったり惨めになったり
誰かを嫉妬したり、ヒクツな自分になっていたけど

でもひとりでしかいられなくて
どんなに心配しても、想っても、大事にしても、なにをしても
あたしはその人になることはない。

自分の思いのわいている場所を見つけたから
いまはもうはじめられる。

自分の足で立ってみる。
爪先立ちで少しだけ世界を違う視点から眺める。

あたしはあたしになったよ。